

芝生に寝転んで、空を眺めていた。
雲が流れる。
あの雲、あれに似ている。名前、何だっけ?
ああ、キリンだ。漢字が難しいほうの。動物園にいるのじゃなくて、中国かどこかの空想上の動物。漢字は思い出せない。いや、最初から知らないだけか。第一、習っていないし、テストにも出ない。
左手を視線の先まで持ち上げる。
際限のない水色の大画面を、味気ない紙きれが切り取った。
「進路希望調査票」
そう書いてある。
いつのまにか、中学三年になった。私立入試を経験しなかったぼくは、来年、初めて受験というものをすることになる。
ぼくらはまだほんの子どもで、なんの権限すら与えられていない。自由にできないことが山ほどある。
なのに、今、大きな決断をしなくてはならない。
たかだか高校を決めるくらいで、と言うかもしれない。しかし、先日の学年集会で、進路指導の松崎はこう言っていた。
「大学へ進学するつもりなら、入試情報の豊富な進学校を受けたほうがいい。先生方も慣れているし、授業も常に受験を視野に入れている。就職率の高い学校へ入って、途中で進学したいとなっても、苦労するんだぞ」
つまり、だ。ぼくらは今の時点で、大学へ進学するかどうかも、決めなきゃならないわけだ。
二年から続いて担任となった〝まこっちゃん〟は、こう言う。
「将来、何をやりたいかを考えて、逆算していったらいいだろ? その仕事に就くためには、大学に進学したほうがいいのか、専門いったほうがいいのか、早めに就職したほうがいいのか? 今はまだ、よくわからないなら、より選択肢が多い道を選んだらいいだろ」
それは、たぶん、正論だ。
「何、やりたいんだよ、将来。ほら、言ってみろ」
まだ若くて、生徒に人気のあるまこっちゃんは、ぼくにとっても話しやすい存在だ。
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